柔軟な審査と討論の場――“総文”大学院のラウンドテーブル開催 毎年7月下旬頃、総合文化政策学研究科では「ラウンドテーブル」と呼ばれる知のやり取りがある。大学院生たちが論文提出の前に、現状の研究論文の審査と共に、テーブルを囲む多様な分野の専門家から貴重な指摘をうける「総合文化政策学研究科中間報告会」である。今年も7月21日、青山学院アスタジオのプロジェクト・ルームを使って実施された。 各自に割り当てられた発表と質疑応答を含めた時間は30分。2017年度のラウンドテーブルでの発表タイトルは、『全日本空輸(ANA)創業者・美土路昌一の「思想」』、『フランス・ナント市の文化政策を巡る考察――文化の民主化・物語性・都市の夢』、『館林市におけるご当地キャラクターの魅力的な活用についての提案』、『携帯電話会社のCMを通して見るテレビCM変化の研究』、『音楽産業の歴史から考える職業音楽家の今後』の5つ。昨年は、芸術と場に関する分析、近年話題のインバウンド観光政策の検証、現在進行形の演劇や音楽ビジネスの分析など8つ。論文内容は、文化を生み出す学問を志向する“総文”らしく、文化を軸にした多様な研究テーマが並ぶ。 総合文化政策学研究科には、「文化を創造する」という新しい学問分野の開拓のために、多分野から教員が集まっているので、テーブルを囲む教員からは、必然的に様々な知の意識からの指摘が飛び交うことになる。研究の問題意識や目的・効果についての評価や分析を行う際のサンプルのとり方、研究論文の基礎的なルールの話から研究の可能性についての突っ込んだ対話など、各々の論文にあわせて個別具体的な意見やアドヴァイスがなされ、研究が次のステップに進むための知の刺激を受ける時間が進む。 一般的に学会発表の際の席の配置は、論壇と聴衆席が相対峙する型が採られるのが普通だが、ここにあるのは、ひとつのテーブルをとり囲む「ラウンドテーブル」というかたちの中で生み出される多角度からの知のやりとり。発表者にはひとつの大舞台に違いないが、ゼミの1コマのような構えない自然をうみだす。青山学院大学総合文化政策学研究科には、いつにも増して濃密な時間が流れる。