映画『世界のまなざし』上映会終了の報告(2018年12月1日開催)

私たち「映像翻訳ラボ」は、2018年12月1日(土)に青山学院大学青山キャンパスにて、映画『世界のまなざし』の自主上映会(共催:青山学院大学、協力:日本映像翻訳アカデミー、後援:UNHCR駐日事務所・国連UNHCR協会)を開催しました。上映会の様子とともに、私たちの活動をご紹介します。

映像翻訳ラボは、本学総合文化政策学部の実習授業「ラボ・アトリエ実習」のひとつであり、正式なプロジェクト名は「映像翻訳を通じて世界と関わる」です。2010年度より始まった「ラボ」で、今年度は宮澤淳一教授(前期)と桜井徹二講師(後期)の指導と飯笹佐代子教授の協力のもと、13名の学生が活動しています。ラボの活動の2本の柱は、字幕作成とプロジェクト・マネジメントの実践です。協力機関である日本映像翻訳アカデミーでの研修などを通して字幕制作の方法を学び、教員の指導や添削を受けながら例年2本ほどの作品の日本語字幕を担当します。また、毎年秋には字幕を担当した作品の自主上映会を開催しています。

このたび私たちが字幕を作り、上映した映画は『世界のまなざし』(アレクサンドラ・リバリス監督 / アメリカ / 2017年 / 27分 / ドキュメンタリー)という、ギリシャの小さな島、カステロリゾ島を舞台にした作品です。欧州難民危機が起きた2015年、大量のシリア難民がこの島に押し寄せました。ペンションを営むダミアンとモニカ夫妻はできる限り彼らを助けようとしますが、島での難民支援に反対する動きに、夫妻の活動も継続が難しくなっていきます。日本にはあまり伝わりにくい難民側と受け入れ側双方が抱える葛藤が描かれた、国内初上映の作品です。

上映作品の字幕を制作するのは、8月に設ける集中作業期間です。履修生全員で力を合わせて訳文を考え、専用のパソコンソフトを使用して入力します。そして推敲を重ね、担当教員の校閲を経て字幕は完成です。

集中作業期間には、翻訳だけでなく、作中のできごとを書き出したタイムラインの作成や作品の背景情報の調査も行いました。そのおかげで、翻訳がスムーズに進んだだけでなく、内容の正確性も期すことができました。

自主上映会は、こうして翻訳した作品を多くの方と共有するため、ラボの成果発表を兼ねて開催しています。学内外への告知や上映会のトークゲストの招聘、当日の配布物の作成などの作業をすべて履修生が担い、準備を重ねて本番に臨みます。今年度の上映会の準備も、メンバー同士で力を出しあって乗り越えました。

迎えた12月のイベントでは、映画上映に先立ち、専門家によるプレトークの時間を設けました。ゲストは、国際協力NGO AAR Japan [難民を助ける会]でシリア難民支援を担当されている坂上佐和子氏です。「ヨーロッパにおける難民支援—それぞれの希望と苦難—」と題したトークで、坂上氏は統計や現地の写真なども交えながら、難民問題の現在の状況を詳しく説明してくださいました。

イベントには54名のお客様が来場され、多くの方に私たちが翻訳した作品を届けることができました。また坂上氏のプレトークにより、映画が描く問題への理解と考えも深まりました。今回の翻訳と上映会の実施による得難い経験は、今後の活動にもつなげていきます。

最後に、ゲストの坂上佐和子氏、アレクサンドラ・リバリス監督、AAR Japanの皆様、日本映像翻訳アカデミーとUNHCR駐日事務所のスタッフの方々、そして字幕作成や上映会開催にご協力いただいた皆様とお客様に、心よりお礼を申し上げます。

青山学院大学総合文化政策学部「映像翻訳ラボ」2018年度履修生一同